社内SEとは

情シス(社内SE)はいらない?不要論の真相について

情シス(社内SE)は不要である、と聞いた事があるのですが本当でしょうか?
質問者

上記のような疑問を解消します。

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マサトシ(詳細プロフィールはこちら

新卒で大手SIerに就職|その後、外資系企業や金融機関等、複数企業で社内SEとして計15年以上の経験|アプリ、インフラ、PM、IT戦略策定等幅広い業務を担当|情シスの採用責任者としてキャリア採用の面接経験も多数

この記事でわかること

「社内SEはいらない」という声を聞くことがあります。ITの進化により、クラウドサービスやSaaSが普及し、アウトソーシングが一般的になる中で、社内に専門的なITスキルを持つ人材が不要になるのでははないか、という意見です。しかし、本当にそうでしょうか?

この記事では、「社内SEはいらない」と言われる理由と、それでも社内SEが必要とされる理由を説明します。

また、社内SEの役割がこれからどのように進化していくのか、そしてどのようにして企業のビジネスに貢献していくのかを見ていきましょう。

この記事でわかること

  • 「社内SEがいらない」と言われる理由
  • それでも社内SEが必要とされる理由

はじめに:社内SEとは?

社内SEは企業のIT戦略を理解し、それをビジネスに活かす役割を担っています。
企業のITインフラはビジネスプロセスの中核を担っており、その運用や開発には専門的な知識が必要です。例えば社内SEは、業務用ソフトウェアの開発、データベースの管理、ネットワークの設定などを行います。

したがって、社内SEは、企業のIT戦略を具現化するための重要な役割を果たします。

社内SEがいらないと言われる理由

それではまず、社内SEがいらないと言われる理由について解説します。

SaaSの普及

SaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)の急速な拡大は、企業が自らソフトウェアを開発・管理する負担を軽減し、より価値ある戦略的な業務へと注力する大きな機会を生んでいます。

SaaSの魅力は、重要なアプリケーションを簡単に手に入れられ、さらにその運用や管理にかかる手間を大きく削減してくれるところにあります。

例えば、企業の中核となるCRM(顧客関係管理)やERP(統合的なビジネス管理)システムをSaaSとして採用すれば、ソフトウェア開発や運用にかかる時間を大いに節約し、その分、より価値ある業務に専念することができます。

このSaaSの進展は、社内SEの役割を根本から見直させ、新たなITの時代を切り開いています。しかし、それは同時に、社内SEの存在意義に疑問符を投げかけるものでもあります。

ITアウトソーシングの浸透

ITアウトソーシングとは、従来、情報システム部門(社内SE)の専門領域だったタスクを社外のエキスパートに効率的に委託することであり、新たな風潮をもたらしています。

ITアウトソーシングがこのように広く受け入れられている背景には、企業が得られる二つの大きなメリット、つまりコスト削減と専門的な知識の活用があります。

具体的には、システム開発や保守といった重要な業務を外部のIT専門企業に委ねることで企業は時間を大量に消費する日常的なタスクから解放され、より重要な戦略的な業務に集中できるようになります。

しかし、ITアウトソーシングの浸透は、情報システム部門(社内SE)の役割とその必要性について考えなおす契機となってます。

ITリテラシーの向上

今日、ITリテラシーの劇的な向上により広範なITスキルの獲得が一般の従業員間で広まることで、社内SEにの存在意義と役割が根本的に見直される可能性が生まれています。

その理由は、基本的なIT問題の解決が専門的な社内SEの範疇から一般の社員にまで広がりつつあるからです。

具体的には、PCの簡単なトラブルシューティング、ソフトウェアのインストール、初級レベルのデータ分析など、従来は専門職が担当していた業務が非ITスタッフでも遂行可能になってきています。

社員個々人が自身の業務上のIT問題を自力で解決することで、業務効率の向上だけでなく、全体の業務フローもよりスムーズになります。さらに、問題解決のための時間やリソースの節約にもつながり、組織全体の生産性向上に寄与します。

このように、ITリテラシーの飛躍的な進歩は、非ITスタッフが自主的にITタスクを解決する可能性を広げるだけでなく、社内SEの役割を再定義するための議論を加速させています。これは、「社内SEは不要だ」という見解の背後にある一部の根拠とも言えるでしょう。

ノーコード・ローコード開発ツールの普及

ノーコード・ローコード開発ツールの新しい時代が到来し、ソフトウェア開発のパラダイムが劇的に変化しました。この変化は社内SE以外のスタッフにも開発プロセスへの直接的な参加の機会を提供しています。

その根底にあるのは、プログラミング経験のないビジネス部門のスタッフでも、自らのニーズに対応したアプリケーションを自力で作成できるという革新的な可能性です。

これにより、社内SEに全面的に依存することなく、タスクの効率化につながる解決策を探求することができます。

具体的な例として、マーケティング部門のスタッフが自分たちのデータ分析をより効率的に行うためのカスタムアプリケーションを自分で作成することが可能になります。

これらの展開により、ノーコード・ローコード開発ツールは、ソフトウェア開発の範囲を社内SEだけでなく、業務ユーザ全体に拡大しています。これは、社内SEの役割とその必要性を再評価する一因となっています。

AIと機械学習の進歩

AIと機械学習の進歩が私たちの生活とビジネスをどのように変えているか、具体的な例を通じて見てみましょう。

これらの技術は、IT業務の一部を自動化し、時間を大幅に節約し、効率化することが可能です。この変化は、特に社内SEの役割に大きな影響を与えています。

AIはシステムの異常を自動的に検知し、問題を解決する能力を持っています。これは、例えば、サーバーのダウンタイムやネットワークの不具合など、社内SEが日常的に行っている監視業務を自動化することにつながります。システムが自己修復的な行動をとれるようになると、これらの問題の発生により社内SEが割かなければならなかった時間が大幅に減少します。

さらに、機械学習を利用した予測モデルは、将来的なシステムの問題や障害を事前に予測し、事前に対策を立てることを可能にします。

これにより、予期せぬダウンタイムが減少し、システムの信頼性と効率性が大幅に向上します。

このように、AIと機械学習のこれらの応用は、社内SEの役割を大きく変化させます。

それでも社内SEが必要な理由

社内SEがいらないと言われる理由を説明してきました。上記の通りITを取り巻く環境の変化により、社内SEの役割の再定義が必要になっています。

とはいえ、社内SEが不要になるわけではありません。むしろ、社内SEは役割は、日々の運用から戦略的な視点へとシフトしているのです。

以下に、「それでも社内SEが必要な理由」について説明していきます。

社内SEの深いビジネス理解

社内SEは企業のビジネスを深く理解し、その知識をITソリューションの開発に活かすことができるため、その存在は依然として価値を持っています。

これは、社内SEは企業のビジネスニーズや文化を理解することで、ビジネスの要件を満たす最適なITソリューションを提供することが可能だからです。

たとえば、新製品の開発プロジェクトでは、社内SEはビジネスの要件を正確に理解し、それを満たすためのシステムを開発する役割を果たします。

これらの点から、社内SEの深いビジネス理解は、企業にとって重要な価値を持つと言えます。

社内SEの技術的なエキスパートとしての役割

社内SEは企業の技術的なエキスパートとしての役割を担い、その存在は依然として重要です。

新旧の様々なテクノロジーを評価し、それが企業のビジネスに与える影響を理解するとともに、新しいテクノロジーを企業のITインフラに統合することを期待されているからです。

例えば、新たなクラウドサービスが登場した場合、社内SEはそのサービスがビジネスにどのような影響を及ぼすかを理解し、そのサービスがもたらす利点を最大限に活用するための戦略を企業に提供できます。また、AI技術の導入においても、その技術がビジネスに与える影響を理解し、新たな技術を企業のITインフラに適切に統合することができます。

これらの理由から、社内SEの技術的なエキスパートとしての役割は、企業にとって重要な価値を持つと言えるでしょう。

ビジネスとITをつなぐ社内SEのコミュニケーションスキル

社内SEは、ビジネス部門とIT部門の間のコミュニケーションを円滑にするための中心的な役割を担っています。この役割は、現代のビジネス環境において依然として非常に重要であると言えます。社内SEはITの専門家でありながら、ビジネス部門と同じ言語を話す能力を持つため、ビジネス部門のニーズとITソリューションの間に存在するギャップを埋めることができます。

具体的には、社内SEはビジネス部門からの要求やニーズを深く理解し、それを具体的なITソリューションへと翻訳します。これにより、ビジネスの目標とITの技術的な可能性が一致することを確認します。また、IT部門から提案されるソリューションがビジネスにどのような影響を及ぼすかを、ビジネス部門が理解できる言葉で明確に説明する能力も持っています。

このような役割を果たすことで、社内SEはビジネスとITの間に存在する誤解を解消し、両者の協力関係を強化することに貢献します。そのため、社内SEが持つこの種のコミュニケーションスキルは、ビジネスの成功を実現するためには不可欠なものであり、それが企業にとって重要な価値を持つ理由です。

社内SEとITセキュリティ:絶えず変化するサイバー脅威に対する盾

社内SEは企業のITセキュリティの最前線に立ち、その存在は今日のデジタル化したビジネス環境において必要不可欠です。サイバーセキュリティの脅威は絶えず変化し、新たな形を取り続けます。

このような状況に対抗するためには、企業が自身のデジタル資産を守るための対策を継続的に更新し、実施することが求められます。その重要な役割を果たすのが社内SEです。

社内SEはファイアウォールの設定から、不正侵入の検出、さらにはセキュリティポリシーの策定といった一連の活動を担当します。これらは全て、企業が安心してビジネス活動を行うためのセキュリティ基盤を構築し、維持するための重要な要素です。

加えて、社内SEは最新のセキュリティトレンドを追跡し、新たな脅威に対する適切な対策を迅速に策定し実行する能力も持っています。これにより、企業のITインフラストラクチャとデータが常に安全であることを確保します。

そのため、社内SEのITセキュリティ対策は、企業にとって大きな価値を持つものです。彼らは企業のデジタル防衛ラインを維持し、組織をサイバー脅威から保護する重要な守護者と言えるでしょう。

社内SEの教育・指導役としての役割

社内SEは他のスタッフに対するIT教育や指導の役割を果たし、この能力は現在も非常に価値あるものです。社内SEは、新しいテクノロジーやシステムの使い方をスタッフに教え、全体のITリテラシーを向上させることで、組織全体の生産性を引き上げています。

彼らは新しいソフトウェアが導入されたときにはその使い方を教え、またITに関する質問や問題が生じたときにはそのサポートを提供します。このような教育・指導の役割を果たすことで、社内SEは組織全体のIT能力を高め、企業のデジタル化を推進します。

そのため、社内SEが果たす教育・指導役としての役割は、企業にとって大きな価値を持つと言えます。

社内SEのトラブルシューティング能力

社内SEはシステムやネットワークのトラブルシューティングにおける重要な役割を果たしており、そのスキルは今も変わらず必要不可欠です。現代のビジネスではITインフラが中心的な役割を果たしており、その問題はすぐに解決する必要があります。つまり、迅速で効率的なトラブルシューティングは企業にとって極めて重要なものとなっています。

社内SEはシステムのダウンタイムが発生した際、問題の核心を素早く見つけ出し、その解決策を実施する能力を持っています。この能力により、彼らはビジネスの遅延を最小限に抑えることが可能です。

そのため、社内SEのトラブルシューティング能力は企業にとって大きな価値を持つと言えます。彼らはまさに、ITの問題を素早く解決し、ビジネスを滞りなく進行させるための重要なサポート役なのです。

4. まとめ

社内SEの役割は、企業のビジネスモデルやニーズに応じて変化してきています。しかし、その専門技術、ビジネスへの理解、コミュニケーション力、そして教育・指導者としての存在感は、依然として企業にとって欠かせないものです。

テクノロジーの急進とビジネスモデルの変革に伴い、企業のITニーズもまた変わりつつあります。しかし、ビジネスとITをつなぐ架け橋としての社内SEの役割は、いつでも重要性を保ち続けています。

新しいテクノロジーの導入からビジネス部門とIT部門とのコミュニケーション、IT教育と指導、そしてシステムトラブルの解決まで、社内SEが果たす役割は多岐にわたります。

これらの要素から、社内SEの役割と存在が企業にとって依然として重要であることは明らかです。

この記事を通じて、社内SEの重要な役割を理解し、深く考えるきっかけとなれば幸いです。

QA

Q1: 社内SEがいらないと言われる理由は何ですか?

A1: 社内SEがいらないとされる理由はいくつかあります。その一つは、クラウドサービスやSaaSの普及です。これらのサービスは企業が自身でITインフラを維持する必要性を軽減し、専門的なITスキルが必要ない状況を生み出しています。また、ITのアウトソーシングが一般的になっているため、企業は社内のITスタッフではなく、外部の専門家にITの問題を委託することが増えています。

Q2: 社内SEの役割は何ですか?

A2: 社内SEの役割は非常に多岐にわたります。彼らは企業のIT戦略の策定をサポートし、新しいテクノロジーの選択と導入を手助けします。また、企業のセキュリティ対策を担当し、ITプロジェクトのマネジメントを行います。さらに、外部ベンダーとの関係を管理し、そのパフォーマンスを最大限に引き出します。これら全ての役割は、企業のIT活用を成功に導くための重要な要素です。

Q3: 社内SEの存在は今後も必要ですか?

A3: 社内SEの役割は、テクノロジーとビジネス環境の変化に応じて進化し続けますが、その本質的な価値は変わらず、企業のIT活用を成功に導くための重要な役割を果たし続けます。新しいテクノロジーの出現やビジネス環境の変化に対応するため、社内SEは常に新しいスキルを習得し、役割を更新していく必要があります。そのため、社内SEの存在は、依然として企業にとって重要であり、その役割は進化し続けるでしょう。

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