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AIエージェント、使うのは慣れてきたけど、既製のツールだと自分の用途にいまいち合わなくて…自分専用に「組む」のってエンジニアじゃないと無理ですよね?
タクヤ
タクヤ

「使う」の次に待っているのは、自分の用途に合わせて「組む」段階です。ところが検索して出てくるのは、ツールの操作手順を追うだけの解説ばかりです。

どんな発想で組み立てればいいのか——そこまで踏み込んだ設計の考え方は、なかなか書かれていません。「エンジニアでなければ無理なのでは」と、足がすくむ人も少なくないでしょう。

自分専用AIエージェント1は、特別な開発力ではなく「PCの作業も、まずエージェント化できないかと考える」設計思想から生まれます。筆者は自分専用の英会話アプリまで組み、オンライン英会話を解約しました。

事業会社のITを本業とし、プライベートでもAIを組んで使い倒す実践者マサトシが、実体験をもとに解説します。「使う」を経験したうえで「組む」に進みたい方へ向けて、実際に手を動かしてきた立場から書きます。何が作れるか、組み方の起点になる設計の考え方、一番のイライラ1つから小さく組んで直しながら育てる進め方の順に見ていきましょう。

この記事でわかること

  • 自分専用に組むと何が変わるか(実例)
  • 組み方の起点になる設計の考え方
  • 完璧を目指さず、小さく組んで直す進め方
  • 一番のイライラ1つから始める4ステップ

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自分専用に組めば既製のAIでは届かない作業も任せられる

自分専用に組んだAIエージェントの5つの実例を示す図

自分専用にAIエージェントを組むと、既製のAIやツールでは届かなかった「あと一歩」の作業まで任せられるようになります。既製品は多くの人に向けた汎用品で、自分だけの事情や細かい手順までは面倒を見てくれません。

「もう少しだけ、自分の事情に合わせてほしい」——そう感じた作業ほど、自分専用に組む価値があります。

ここまで、実際にいくつもの仕組みを自分専用に組んできました。どれも既製のサービスのままでは、最後まで満足できなかった作業です。

組んだ仕組み解消したイライラ変わったこと
英会話アプリ回線品質・教師の差オンライン英会話を解約
経路検索案内どおりだと間に合わない出発〜乗換の不確実性まで反映
記帳会計作業が面倒記帳を自分専用化
チケット確認価格チェックの手間リセール価格を取得
自己紹介文用途別に書き直す手間職歴から用途別に生成

表に挙げた5つの仕組みのうち、まずは生活が大きく変わった代表例と、そこから広がった日常の作業への展開を、順に見ていきます。

英会話アプリを組んで、オンライン英会話を解約した

いちばん生活が変わったのは、英会話です。オンライン英会話の困りごとを解くために、自分専用の英会話アプリを組み、オンライン英会話そのものを解約しました。回線品質のばらつきや、教師のモチベーションの差といった困りごとが、既製のサービスでは解けなかったからです。

やったことはシンプルです。オンライン英会話のその困りごとと、ITや金融など強化したいトピックを対話AIに伝え、会話練習用のカスタムAIアプリ2として組み上げました。アプリの登録作業まではブラウザ自動操作に任せ、誰にも共有せず、自分だけが使う非公開のアプリとして仕上げています。もっとも、一度で今の形になったわけではなく、ほかの仕組みと同じように使いながら少しずつ直してきました。

既製サービスへの不満を、自分だけの仕組みに置き換えられたのが、いちばん大きな変化でした。「自分だけの練習相手」という感覚は、いまも使うたびに新鮮に感じられます。

経路検索や記帳など、日常の作業を次々に自分専用化した

英会話だけでなく、経路検索・記帳・チケットの価格確認・自己紹介文づくりまで、日常のいろいろな作業を自分専用の仕組みにしてきました。一度この視点を持つと、身の回りの面倒な作業が次々に候補として見えてきます。

経路検索は生活の細かい不確実性まで盛り込んで組みました。記帳は、使う側の記事でも触れた作業を、自分でもう一段仕組みにした一例です。ほかにも、チケットのリセール価格を定期的に取得したり、職歴データから用途別の自己紹介文を作らせたりと、広がりは尽きません。

面倒だと思っていた作業ほど、後から振り返ると自分専用化の候補だったと気づくことが増えました。

なぜ経路検索まで自分専用にできるのか。その発想を、次章で具体的に見ていきます。

自分専用に組む前に、まず「使って任せる」段階の実体験(記帳・メール・調査)は、以下の記事にまとめました。
関連記事 【実体験】個人のAIエージェント活用術|記帳・メール・調査を自動化

組み方の起点はPCの作業を全部エージェント化する発想

PCの作業をエージェント化する設計思想のフロー図

自分専用に組む発想の起点はシンプルで、パソコン上でやっている作業は、まず「これもエージェント化できないか」と考えるところにあります。作り方をツールの操作から入ると手が止まりますが、発想から入れば、身の回りの作業がそのまま「組む候補」になるのです。

自分専用に組めるかどうかは、技術力よりも視点の持ち方で決まります。ここでは、その発想を3つの視点に分けて確認していきます。

まずこれもエージェント化できないかと考える

作り方の第一歩は、目の前の作業を見て「これもエージェント化できないか」と考える習慣を持つことです。パソコン上の作業は手順を言葉で説明できるものが多く、説明できる作業ほどAIに任せられる余地があります。

メールの処理、調べもの、書類の整理、予約——特定の作業に限らず、パソコンでやっている作業すべてを候補として見る発想が出発点になります。特別な処理を思いつく必要はなく、まずは候補として拾い上げるだけで十分です。

この視点を持てるかどうかが、自分専用の仕組みを生み出せるかの分かれ目になります。

何を組むかは自分のイライラ・悩み事から選ぶ

では何からエージェント化するか——選ぶ基準は、自分が「イライラすること・悩んでいること」を解消できるかどうかです。悩みが強い作業ほど、解決像が具体的になり、作ったあとに直し続ける動機も続きます。

通勤の乗り換え、定例の調べもの、繰り返しの書類仕事など、自分が強く困っている作業を起点にするのがコツです。逆に、誰かに勧められただけの作業は、途中で熱が冷めやすいです。

便利そうだから作るのではなく、自分の面倒を減らすために作る発想のほうが、長く続けられます。

悩みを具体的に分解して要件に翻訳する

組むときのコツは、その悩みを具体的に分解して、AIへの要件に翻訳することです。経路検索がわかりやすい例です。悩みを漠然と渡すと汎用的な答えしか返らず、細かく分解するほど自分に合った仕組みになります。

筆者の場合、乗換検索そのままの時間だと、しばしば間に合いませんでした。家から駅までの時間、初めての駅でスムーズに乗り換えできるか、出口まで迷わず行けるか——こうしたアナログな不確実性を具体的に洗い出し、経路検索の所要時間に盛り込む形で組みました。

悩みを具体的な条件に翻訳できれば、既製の検索では出せない「自分用の答え」が手に入ります。この考え方は、経路検索に限らず、ほかの作業にも応用可能です。

マサトシ
マサトシ
乗換アプリの時間どおりだと、初めての駅では間に合わない。そこまで織り込めるのが自分専用の良さです

特別な技術よりも、目の前の作業を、まずエージェント化の候補として見る視点が大切になります。

一番のイライラ1つから、小さく組んで直しながら育てる

一番のイライラから自分専用AIエージェントを始めて直しながら育てる4ステップの図

始めるなら、今いちばんイライラしている作業を1つ選び、小さく組んで、使いながら直していくのが近道です。最初から完璧を目指さないのがコツです。完璧な設計を先に描こうとすると手が止まり、複数に手を出すとどれも中途半端になります。筆者も、特別な環境を用意せずに始めました。

個人は小さく作って直せますが、企業として本番運用に乗せるとなると、別の壁が待っています。
関連記事 AIエージェント導入は、なぜPoCで終わるのか — 40%が中止される時代に本番化する条件

ここからは、実際に手を動かす4つのステップとして整理します。順番に沿って進めれば、最初の一歩を踏み出しやすいでしょう。

ステップ1:一番のイライラを1つ選び、現状の手順を書き出す

まず、今いちばんイライラする作業を1つ選び、いま自分がやっている手順を書き出します。手順を書き出すと、どこをAIに任せてどこを自分に残すかが見えてきます。

通勤の乗り換え、定例の調べもの、面倒な書類仕事などから1つ。現状のステップを箇条書きにしてみてください。書き出す作業自体は数分で終わりますが、ここで手を抜くと後の設計がぶれます。

現状の手順が見えると、次にAIへ渡す形づくりも簡単です。

ステップ2:やってほしいことを対話AIと言葉で設計する

次に、その作業でやってほしいことを、対話AIと一緒に言葉で設計していきます。頭の中の手順を言葉にする作業こそ、AIに任せられる形へ翻訳する要になります。

悩みを分解し、どこまでを任せてどこからを人がやるかを、対話しながら決めていく流れです。前章で触れた要件翻訳を、ここで実践する形になります。対話を重ねるほど、自分でも気づいていなかった要件が見えてくることも少なくありません。

筆者の実感では、手順を言葉にできた時点で、組み立ての半分は進んでいます。

ステップ3:動く最小形を作って、まず使ってみる

設計ができたら、完璧を目指さず、まず動く最小形をつくって、実際に自分で使ってみます。使ってみないと、何が便利で何が足りないかは分かりません。

全部を任せず一部だけ動かす、下書きまで作らせて確認する——そうした小さな試し方で十分です。小さく試すほど、うまくいかなかったときのやり直しも簡単です。

使って初めて見える改善点が、次に直す場所を教えてくれます。

ステップ4:人の確定点を決めて、直しながら広げる

最後に、要件のなかに「人が確定する点」を決めておき、使いながら直して、うまくいった型を他の作業へ広げます。人の確定点を決めずに任せる範囲を広げると、意図しない操作まで進んでしまいかねません。

筆者もどの仕組みも一度で完成させたことはなく、直しながら使い続けています。うまくいった型を、条件の似た別の作業へ横展開していくのが基本の流れです。

人の確定点を設計に入れておくと、リスクを小さくしながら広げていけます。独学で手が止まったら、体系立てて学べる環境を使うと近道です。

使う側で経験した「勝手に送信」のヒヤリと、人が確定する操作の線引きの実体験は、以下の記事で詳しく書いています。
関連記事 【実体験】個人のAIエージェント活用術|記帳・メール・調査を自動化

環境構築なしでAIエージェント開発を実践する

4ステップの先へ。自分専用のAIエージェントを体系的に組む学びの入口

まとめ:今日、一番のイライラを1つ組んでみる

自分専用AIエージェントは、特別な開発力ではなく「PCの作業もエージェント化できないか」と考える発想から生まれます。特別なスキルよりも、目の前の作業をエージェント化の候補として見る視点があれば、既製のAIでは届かない「あと一歩」まで自分の手で埋められます。

悩みを要件に翻訳し、小さく組んで直す——この流れを意識すれば、自分専用の仕組みは決して遠くありません。

この記事の要点

  • 起点は、目の前の作業をエージェント化の候補と見る視点
  • 組む作業は、自分のイライラ・悩み事から選ぶこと
  • 完璧を目指さず、小さく組んで直しながら育てること

今日、いちばんイライラしている作業を1つ、試しにエージェント化してみてください。

個人で組む経験は、企業でAIエージェントを導入する場面でもそのまま効いてきます。企業導入から個人実践までの全体像は、以下の記事で地図にしています。
関連記事 AIエージェント実践ガイド2026|仕事で活かす全体像と始め方

その先で「自分で組んでみたい」と思ったら、手を動かしながら学べる場を頼ってみるのも一つの手です。

自分専用エージェントを組める側になる

発想だけでなく手を動かして組めると、任せられる範囲が一気に広がる

自分専用AIエージェントづくりのよくある質問

最後に、自分専用にAIエージェントを組むうえでよくある疑問に答えます。

Q1. 自分専用AIエージェントは非エンジニアでも作れますか?

筆者は作れました。出発点は特別な開発力ではなく、「PCの作業もエージェント化できないか」と考える視点だったからです。実際、対話AIに手順を相談しながら、自分専用の仕組みを組みました。プログラミングよりも、自分の不満を言葉で説明する力のほうが役立ちます。

Q2. 何から作り始めるのがおすすめですか?

今いちばんイライラしている作業を1つ選ぶのがおすすめです。悩みが強い作業ほど、作る目的がはっきりして、直し続ける動機も続くからです。便利そうな作業より、自分の面倒を減らせる作業から選ぶと挫折しにくくなります。候補が複数あるなら、いちばん頻度が高い作業から手をつけてみてください。

Q3. 既製のAIツールを使うのと、自分で組むのは何が違いますか?

既製ツールは多くの人向けの汎用品で、組むと自分の用途の「あと一歩」まで届きます。たとえば経路検索なら、家を出てからの不確実性まで織り込むような個別最適は、自分で組んで初めて可能になります。汎用で足りるなら使う、痒いところが残るなら組む、と使い分けるのが現実的です。判断に迷うときは、まず既製のツールを使ってみて、足りない部分だけ組む順番でも構いません。

Q4. うまく動かない・失敗したらどうすればいいですか?

完璧を目指さず、直せば大丈夫です。まず動く最小形を作って使い、ダメな部分を直す反復で育てるのが基本だからです。筆者も、どの仕組みも一度で完成させたことはなく、直しながら使い続けています。「作って終わり」ではなく「使って直す」前提にすると、失敗が怖くなくなります。

Q5. 自分で組んだAIが勝手に操作する心配はありませんか?

組む段階で、要件のなかに「人が確定する点」を入れておくのがおすすめです。設計のときに人の確認を挟む場所を決めておくと、任せる範囲を広げてもリスクを小さく保てます。迷ったときは、取り返しのつかない操作かどうかを基準にすると判断しやすいです。筆者も、要所は自分で確定する前提で組んでいます。

この記事で使われている専門用語の解説

1. AIエージェント(Agentic AI): 目的を与えると、複数のツールや手順を自分で使いながら結果まで到達するAIの仕組み。「考えて→動いて→次を決める」ループを自律的に回す点が、答えを返すだけのチャットや、決めた手順を繰り返すRPAとの違い。

2. カスタムAIアプリ: 自分の用途に合わせて、対話AIやAIエージェントの動きを組み合わせて作る、自分専用の小さなアプリケーション。既製サービスでは届かない個別の要件に対応させられる。